
・入浴に誘うと、椅子から立ち上がってもくれない
そんな疑問にこたえます。

僕は介護士11年目ですが、入浴のお断りをたくさん受けてきました。
そこで「どうしたらお風呂に入ってもらえるか」を思考錯誤して繰り返した結果、成功確率は少しずつ上がってきました。
今回は、自分が新人介護士の頃に「入浴拒否で悩んだこと・当時知りたかった対応のコツ」をお伝えします。
こんな方におすすめ
- 入浴の断りを受けて心底つらい方
- 断りから入浴実施への確率を上げたい方
- 認知症の方を介護している方
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この記事を書いたひと

デイサービス生活相談員 兼 介護職 11年目
日々のレク制作と担当 900回以上
社会福祉士・介護福祉士・介護支援専門員の資格あり
他職種からの転職組40代男性
入浴拒否も大変ですが、敬老会やクリスマス会の出し物も大変!
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では、始めましょう!
認知症の方が入浴を拒否する理由とは?

たまに入浴しない場合は問題ありません。
しかし、毎回入浴できない場合は「不潔・臭い・打撲等の全身チェック不可」など問題が出てきますよね。
だから、職員は利用者に入浴をしてほしいのです。
しかし、認知症のご利用者の中には、入浴を嫌がるケースがあります。
僕の経験上で、実際に起きたケースを挙げてみますね。
ポイント
”お風呂そのもの” の理解が難しい
そもそも入浴が嫌い
入浴に誘うタイミングが悪い
声かけした職員が嫌い
では、それぞれ解説しますね。
”お風呂そのもの” の理解が難しい
脳機能の低下により、 ”入浴行為や入浴に関連する動作” の理解が難しくなります。
そのため、認知症の方は「知らないもの・わからないもの」を不安に感じやすいです。
だから、入浴を拒否する傾向にあると言えます。
認知症の方の心情
”入浴”と言われても、何の事かわからない不安
知らない人から誘われる恐怖
着替えがうまく出来なくて恥ずかしさ

そもそも入浴が嫌い
昔から入浴嫌いな方が、お風呂を嫌がることは当然ですね。
そのため、入浴の実施はとても難しいでしょう。
だからこそ、入浴のどの過程がイヤなのかを探る必要があります。
着替えが面倒?
水が目に入る違和感?
周りから見られる羞恥心?
「暑い・寒い」等の温度感覚の不快感?
入浴に誘うタイミングが悪い
声かけのタイミングを誤ると、普通に入浴する方が入浴を断る場合があります。
自分発信で事を進めたい方、ルーティンにこだわりがある方などが該当します。
参考例
体操中にお風呂の誘いがイヤな方
浴室が目視できる場所で誘わないと断る方
トイレの直後に誘わないと断る方

声かけした職員が嫌い
ご利用者とスタッフの相性により、ご利用者の反応が変わることがあります。
つまり、ご利用者と相性の悪いスタッフの声かけでは、失敗する場合があります。
ご利用者は、スタッフの一挙手一投足を案外見ています。フロアでのスタッフの言葉遣いや立ち回り、つまり ”ひととなり” ですね。

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認知症で入浴拒否する方が、浴室に向かう声かけのコツ

認知症で入浴拒否する方が浴室に向かう声かけのコツは、ご利用者やスタッフによってやり方が異なります。
以下の項目は、僕が介護現場で培った方法です。
100%成功するわけではないですが、成功する可能性は高いと思うので共有しますね。
ポイント
- 利用者が座位のまま誘ってはいけない
- ”入浴”の名目で誘わない
- 歩きながら世間話をして、一時的な信頼関係を築く
- 世間話の内容を入浴に近づける
- 脱衣所で拒否を受けたら、昔の入浴道具の画像ポップを活用
- 着脱・洗身の際、常に会話をし安心感を持ってもらう
- ”キレイになってもらえて嬉しい”と全力で伝えて、”快”の気持ちになってもらう
以下、解説します。
利用者が座位のままで、誘ってはいけない
お声かけの際、ご利用者の姿勢は「座位」と「立位」、どちらが成功しやすいと思いますか?
正解は「立位」です。
理由は、最初の難関である「立つ」という動作をクリアした状態で、スタートがきれるからです。
例えるなら、 ”寒い冬の朝、布団から起き上がる” というハードルをクリアした状態ですね。
< お声かけの一例 >


ちなみにご利用者から「何のために立つの?」と警戒されたら、「リハビリ」や「散歩」の回答で大丈夫でしょう。
それだけで成功率は全然違うので、お試しあれ。
”入浴”の名目で誘わない
「お風呂にいきませんか?」はNG!
ご利用者の回答は「NO」に決まっています。
一度「NO」と言われると「YES」にひっくり返すことは、大変な労力と時間を要します。
なので、「お風呂に行きましょう」というストレートな表現はおススメしません。
歩きながら世間話をして、一時的な信頼関係を築く
急にお風呂の話をすると不自然なので、歩きながらの世間話がおススメ。
お話を続けることで、ご利用者にお話に集中してもらえます。
むしろ、安心感を持ってもらえるので、入浴の可能性がひとつ上がりますよ。
世間話の内容を入浴に近づける
脱衣所が近づいてきたら、世間話を入浴に寄せます。
理由は、お風呂と無関係な会話のまま脱衣所に入ると、違和感が生まれて、だまされたと思われるからです。
< 例 >

「〇〇さん最近、温泉行きました?」など。
「お風呂」・「温泉」・「お湯」などのキーワードを話に入れましょう。
ご利用者に「入浴」のイメージを自然に付けていくことが重要です。
それにより違和感を感じさせず、入浴への抵抗を減らす下準備ができます。
脱衣所で拒否を受けたら、昔の入浴道具の画像ポップを活用
フロアでご利用者の拒否がなくても、脱衣所では拒否がありがちです。
理由は、脱衣所や浴室が見えることで「今からお風呂に入る」と察知するからです。
入浴拒否への対応例は以下のとおりです。
入浴拒否の対応例
「お風呂入らなくて大丈夫。では着替えだけしましょうか。」
「髪がペットりしてます。洗ってふんわりした方が素敵ですよ。」
「看護師が体の状態を確認するそうなので、一度脱ぎましょうか。」
また、会話の疎通が難しい場合、昔のお風呂道具を ”カラー印刷してラミネートしたもの” を基にやりとりすると、うまく行く場合もあります。
<昔道具のポップ例>
・五右衛門ぶろ
・ケロリンの黄色い桶
・乾燥させた”へちま”
着脱・洗身の際、常に会話をして安心感を持ってもらう
利用者の不穏が続く場合、ご利用者を会話に集中させるため、職員は話しかけ続けることが効果的。
スタッフは、利用者との会話を続けながらも、手は入浴の作業を進めましょう。
その結果、利用者は安心感を持つことができて、不安な状況を乗り越えることができますよ。
「キレイになってもらえて嬉しい」と伝えて、”快”の気持ちを引き出す
入浴・更衣が全て終わったら、終わりではありません。
最後にご利用者が喜ぶ一言を全力で伝えましょう!
理由は、認知症の方は行為そのものでなく、感情がその行為のイメージを作るからです。
つまり、入浴のイメージを一時的でも ”不快” から ”快” にすることができるのです。
<例>
「あ~、〇〇さん、お肌がピカピカですよ!私、すごく嬉しい!!」
「髪がふっわふわ。〇〇さん、うらやまし~。」
「体の状態が確認できて、看護師さんが安心してましたよ。」

入浴できた直後の職員の関わり方が、次の入浴拒否を軽くするポイント

入浴できたから終わりではありません。次回以降の入浴拒否をいかに軽くできるかは、入浴後の対応にかかっているのです。
入浴後の声かけポイント
味覚で ”快” を感じてもらう
できるだけ多くの職員が賞賛して、本人に”快”な気分を増幅させる
以下、解説しますね。
味覚で”快”を感じてもらう
風呂上りには、特別な飲み物があると良いですね。
理由は、「お風呂に入ると良いことがある」と味覚で感じてもらえるからです。
例えば、スポーツドリンクです。粉末タイプもあり、業務用で安く購入できますよ。
それで入浴拒否が和らぎ、スタッフのストレスも軽減できるなら効果的ですよ。

できるだけ多くの職員が褒めて、本人にがさらに”快” な気分になる
入浴が実施できたら、1人より多くの職員から賞賛を受けた方がなお良いです。
入浴したことは忘れても、”入浴とは周りから褒められる気持ちの良いもの" というイメージができるかもしれません。
すると、次回の入浴拒否が少し軽くなる可能性も出てきますよ。
入浴拒否を成功に導く方法はトライ&エラーしかない

入浴の拒否を成功に導く際、「この方法が正解」なんて、実はないんですね。
なぜなら、ご利用者一人ひとりによって”正解”は違うからです。
さらに前回うまくいったやり方が、今回はダメだったという場合もありえます。
つまり、声かけの仕方をズバッと変えて確実に成功させるのでなく、色々試して入浴の確率を少しずつ上げていく方が現実的です。
<例>
声かけの仕方を変える
スタッフを変える
BGMを使う
モノを使う
色々なやり方を試して、ご利用者のリアクションを見ながら、ご利用者に合う方法を見つけることが入浴の確率を上げる近道と思います。
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