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介護現場の悩み解決

【デイサービスの1コマを分析】自宅で出来る認知症の方への対応方法

2020年6月8日

重ねた手

 

・介護のプロは、認知症の方へのどんな対応をしているのかな?

・介護のプロに、家でも実践できる認知症への対応のコツを教えてほしい?

 

・家庭内で、認知症の家族の対応がうまくいかないよ…

・認知症の家族と過ごしていると、ストレスがたまる…

 

そんな疑問に応えます。

 

デイサービスで実際に起きた認知症の方への対応を、家庭での対応と合わせて解説しますね。

 

記事の信頼性

2020年現在、介護士と生活相談員を兼務で8年目。

ヘルパー2級取得。社会福祉士取得。

介護福祉士取得。介護支援専門員(ケアマネジャー)取得。

 

きっと、役に立つ情報ですので、最後までご覧ください。

 

 

 

 

1.「○○がなくなった!」 被害妄想・もの盗られ妄想 編

 

被害妄想・もの盗られ妄想は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つです。

対応の仕方を間違うと、介助者・家族に対し不信感が定着していまいます。

対応には重要なコツがあるので、実際の介護現場を例に見ていきましょう。

 

 

ある時、認知症の方が少し怒った顔で、スタッフに詰め寄りました。

 

「私、お金を盗られたの。 バスに乗っていたら、お客さんが話しかけてきて、私お金を貸したの。

そしたら、そのヒト、返してくれないの。」

 

補足
事実は、バスハイクに参加し、参加費の集金を受けたことでした。

 

<NGな対応例>

 「そんなことあるわけないじゃないですか」

 「バスハイクであった集金の話でしょ?」

 

 

否定は、よりマイナスな感情を増幅させます。 妄想がひどくなったり、話の解決に余計に時間がかかります。

事実かどうかより、”認知症の方が思っている事実”に合わせた方がスムーズに解決します。

 

 

<Goodな対応例>

 

ステップ①

「そうなんですね。大変だったですね。詳しく教えてください。……」

ステップ①

ある程度、モノ盗られ妄想の話を聴きます。(受容)

”あなたの話を聞き入れます。味方です”というスタンスが重要です。

 

 

ステップ②

「バスで今までどんな所に観光に行きましたか?」

「バス以外の旅行で、まさか船で行ったことあります?(笑)」

 

次に、少し話をずらした質問をしたり、軽い冗談有効です。

理由は

質問されて本人が考えることで、マイナスな気持ちを忘れることがあるため。

冗談マイナスな気持ち和らげるため。

 

(補足)
その場で盗られた発言があれば、一緒に財布を探す行動をとるのがベストです。

その後、「休憩でお茶を飲んで、財布探しの続きをやりましょう」などと提案します。

それで、その件は忘れていただきましょう。

 

お茶を出さなくても構いません。毎回、お茶を出すのも大変ですよね。
休憩しましょう」でもよいです。

私、手が離せなくて、洗濯ものをたたんでほしい」など依頼することもアリです。

 

 

ココがポイント

被害妄想・モノ盗られ妄想の対応には

受容 → ずらした質問 』

受容 → 軽い冗談 』

受容 → 提案 』

受容 → 依頼 』

以上4つが重要です。

 

 

 

2.「家に帰りたい!」帰宅願望 編

 

帰宅願望は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つです。
健常者には全く理解できない行動ですが、デイサービス利用初期の利用者によくある行動です。

対応には重要なコツがあるので、実際の介護現場を例に見ていきましょう。

 

 

(様子)何も言わず、椅子から立ち上がりました。 そして歩き始めました。

 

(聞きます)「どうしました? トイレですか?」
「家に帰る」
「もう少しで、おやつの時間ですよ。」
「お腹へってない。帰る」

 

<NGな対応例>

 「ここにいてください。」

 「何言っているんですか? ここはあなたの家ですよ。」

 

根拠のないお願いや否定は、よりマイナスな感情を増幅させます。

話の解決に余計、時間がかかります

 

 

<Goodな対応例>

 

ステップ①

もちろんですよ、Aさん。一緒に帰りましょう!

 

認知症の方の要望には、まず【受容】が必ず必要です。 ”あなたの話を聞き入れます。私はあなたの味方です”というスタンスが重要です。

 

 

ステップ②

「Aさんのご家族の〇〇さんに挨拶したいので、一緒に行かせてください。 出かける準備をするので、少し待っていただいてよろしいですか?」

 

 

お願いなのですが、洗濯ものをたたんでから出発でいいですか? 早く行きたいので、手伝っていただけませんか?」

 

もちろん、一緒に外に出て、タイミングを見計らって休憩を促し、連れ戻ることが最善策です。 ただ、時間がそこまでとれない方にとって、難しい対応策かと思います。

 

次に、あなたの身内に挨拶をしたいなど、言われたら嬉しい言葉を投げかけます。 最後に、何かをお願いをする構図がよいでしょう。

 

ココがポイント

「家に帰りたい!」帰宅願望の対応には

『受容 → 散歩 →帰宅』

『受容 → ハートフルな会話 → 依頼 』

以上、2つが重要です。

 

 

3.「お風呂はさっき入ったわ!」 入浴拒否 編

 

入浴拒否は、認知症初期の関わり方が重要です。

入浴できたとしても、結果としてマイナスなイメージを持たせたら、次回以降に入浴の拒否が強くなります。

そのため、対応にはマイナスイメージを持たせないコツが必要です。

実際に介護現場でよくある場面です。

 

 

「Aさん、お風呂にいきましょう!」
・「風呂は好きじゃない。入らん!」

・「夜に入る。今は入らん!」

・「お風呂はさっき入った」

 

<NGな対応例>

「風呂に入れないと、私の仕事が終わりません。だから入りましょう!」

 言動が介助者本位でよくありません

 

 

「体が少し臭いますよ。お風呂に入りましょう」

 Aさん寄りの言動ですが、傷つくかもしれません。場合によって有効かもしれません。

 

 

 介助者がむりやり脱衣させたり、お風呂に入れたりする

 「お風呂はいやな事をされる」というマイナスな印象が脳に定着し、次回の入浴時になお拒否が強くなる傾向にあります。

 

 

 

<Goodな対応例>

 

「今、お風呂に入れば、夜に自由な時間が増えますよ。」

近い未来像をイメージさせてあげることは大事です。

 

 

 

「お手伝いしましょうか?座るだけで、らくちんですよ。」

入浴することが苦じゃないことを伝えます

 

 

 

お風呂に入りたくなる気分作りをすること】

(例)

ステップ① テレビのレコーダーに録画しておいた芸能人の温泉に入る場面を流す

ステップ②「お風呂は気持ち良いですね。」「温泉、入りたいですね。」など世間話をする

 

入浴直前にお風呂に対しプラスな情報を提供すると、拒否反応を和らげる効果があります。 お風呂へ誘った時に応じる可能性が上がります

在宅で入浴拒否がある場合には、他にも「薬を塗る」「足の爪を切る」などの理由をつけて、浴室や脱衣所まで案内しましょう。その後、「浴槽にお湯を入れたのでどうですか」と誘ってみましょう。

 

 

ポイント

「お風呂はさっき入ったわ」入浴拒否の対応には

・『お風呂後、楽しい未来像を想像させてあげる』
・『お風呂が、面倒でなく、らくちんに入ることができることを伝える。』
・『お風呂に入りたくなる事前の気分作りをする』

以上、3つが重要です。

 

 

4. 「トイレって、何するところかわからない?」トイレでの失敗 編

 

高齢になると、排尿を留めるための機能低下が起きたり、認知症による脳機能低下により、トイレの意義や使い方がわからなくなることがあります。

ましては排泄という生理的で他者に見せたくない行為であるため、関わり方には特に注意が必要です。

 

<NGな対応例>

トイレに失敗したことを叱り、自尊心を傷つける

介助者の都合だけでトイレに誘う

 

加齢に伴い、尿意や便意感じづらくなります。

そして認知症が進行すると、尿意を感じても意思を伝えることが困難になることさえあります。

トイレの失敗が増えるたびに、失敗しないように頻繁にトイレに誘うと、本人にとってはその気もないのに連れていかれることになり、不可解で気味悪く感じます。

そのような体験が重なることで、トイレに行くことを拒否するようになるのです。

 

 

<Goodな対応例>

 

ステップ①

トイレの時間や便意を感じる予兆行動や時間を記録しておきます。

 

ステップ②

記録をもとにタイミングを見計らって誘うようにすると、次第に失敗が減り、改善することがあります。

 

 

ポイント

「トイレって、何するところかわからない?」トイレでの失敗の対応には

ステップ①
トイレの時間や便意を感じる予兆行動や時間を記録する。

ステップ②
記録をもとにタイミングを見計らって誘うようにすると、失敗が減り、改善の見込みアリ。

 

 

 

<まとめ>

デイサービスで実際に起きた認知症の方への対応を、家庭での対応と合わせて解説しました。

自宅での認知症介護に活用していただければ幸いです。

認知症の家族を介護する際に、認知症の特徴を理解して適切に対応すれば、お互いに心身の余計な負担を減らすことが可能となります。

少しずつ学んで、認知症の方との暮らし方を明るくしていきましょう!

「ありがとう」が嬉しい、いつまでも必要とされ続けるお仕事

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介護士ダディ

デイサービスの介護士 兼 生活相談員です。介護歴10年以上の40代男性。現場の「困った」を減らしたい!また、介護の仕事を検討中の方に向けて、介護現場の「素敵さと大変さ」の両方をリアル発信しています。

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