・新人職員向きの体操のマニュアルが欲しいな。
・体操中に利用者を惹きつける話法を知りたい。
そんな疑問に応えます。
以前、同僚がこう言いました。『入職当時、先輩に「体操の内容は何でもいいよ」と言われたけど、そもそもレパートリーがないから何をやったらいいかわからず大変だった』と。
つまり、新人職員は集団体操の具体的な展開をそもそも知りません。先輩職員の体操を見た程度では、多くの利用者の前で体操を担当するのは難しいと思います。
『では、どうすれば新人職員が利用者の前で体操ができるようになるのか?』をテーマにして経験者の立場から記事にしました。
こんな方におすすめ
- 介護現場における集団体操の基本的『型』を知りたい方
- 利用者が体操をやりたくなる方法を知りたい方
\記事を書いたのはこんなひと/
《 当サイト『tomotablog』運営者について 》
☑ 異業種を退職後、無職にて奥さん実家に居候。1年後に介護職へ転職
☑ デイサービス介護職 兼 生活相談員 10年目の40代中堅職員
☑ 介護福祉士・社会福祉士・ケアマネージャー 資格保有
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では、いきましょう!
3大介助以外に、新人職員にハードル高めの業務トップ3とは?
介護施設の3大介助と言えば、”入浴介助”、”排泄介助”、”食事介助”。新人スタッフにとって、3大介助は入職当初から習得に力を注ぐべき介助業務です。
しかし、介助業務以外にデイサービスでは、ほぼ必須の業務があります。それは以下の3つの業務です。
✅朝の会
✅体操
✅送迎
この3つの業務について、最初の頃は先輩スタッフの見学でしょう。しかし、自分一人で行う日が来るでしょう。そのうち本記事では、”体操”について解説します。
”朝の会”、”送迎”については別記事で解説しているので、参考にしてみてくださいね。
\朝の会についての記事はコチラ/
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【デイサービス朝の会のネタ】盛り上がる法則とは!
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【デイサービスの朝の会】ネタより大事な3つの法則
続きを見る
\送迎についての記事はコチラ/
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【初心者向け】地域通所(デイサービス)の送迎:7つの重要ポイント
続きを見る
デイサービスの介護予防体操とは?
多くの事業所では、スタッフが利用者の前で体操を行います。最近では、テレビ画面にYouTubeを連動させて体操の動画を流しながら行う事業所もあります。
そもそも、介護予防体操は一般の体操と何が異なるのでしょうか?
デイサービスの介護予防体操には以下の特徴があります。
介護予防体操の特徴
✅日常生活の動作で使う筋力を動かす。
✅一定数の人数で行うため、半強制的な環境で運動をすることになる。
✅体操の職員により、運動を楽しめる工夫がしてあること。
以下、解説していきます。
日常生活の動作で使う筋力を動かす。
複雑で派手な体操ではなく、適度に筋肉や関節を動かす内容です。
理由は、普段している動作が今後も継続できるようにするためです。
例えば、トイレや入浴、歩行、服の着替えなどの生活動作をするためです。必要な筋力や関節の可動域を保つ内容です。
つまり、日常生活動作を継続するために実施する体操です。
一定数の人数で行うため、半強制的な環境で運動をすることになる。
介護予防体操はマンツーマンでなく、集団で行うことが一般的です。
職員が利用者の前でトレーナーとなり、体操の見本となります。
利用者ひとりだけやらないという選択肢がないため、基本的には全員参加です。
そのため、多くの人数が参加する中で、利用者一人ひとりに目を配りながら体操を実施する必要があります。
体操の職員により、運動を楽しめる工夫がしてあること。
体操を30~40分続けて行うことは高齢者には体力・集中力共に難しいものです。
そこで体操の職員には、”脳トレを取り入れた体操”や”雑談”などの流れに変化をつける工夫が必要になります。
例えば、デュアルタスク(一度に2つのことを行うこと)を使った体操や、利用者が興味が湧くと想像できる話題をしたりします。
つまり介護予防体操は、体を動かすだけでなく、脳も動かし、楽しい気分になってもらう介護職員の腕の見せ所でもあります。
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なぜ新人は体操に苦手意識を持ちやすいのか?
体操を率先してやる新人スタッフはあまり見ません。
なぜなら、集団の前で話すだけでもドキドキなのに、体操の演者はもってのほかですよね。
先輩に体操のやり方を尋ねても「好きなようにしていいから」と言われます。しかし新人の自分に体操の台本がない以上、難しいと思います。
だからこそ、簡単なバージョンでいいので、体操の台本を早く習得しておきたいですね。
集団体操の内容構成と所要時間
体操の内容と所要時間は、その時の状況により変動するため、これという正解はありません。
また、職員により体操内容も多少異なります。
僕が実施する集団体操の構成と所要時間は以下のとおり。
簡単な流れ
- あいさつ(5分)
- 首(3分)
- 上半身(5分)
- 手指(5分)
- 雑談や脳トレ、クイズ等(5~10分)
- 下半身(5分)
- 立位で下半身(5分)
集団体操の内容
では、僕が施設で行っている介護予防体操を順を追って解説していきます。
あいさつ(5分)
簡単な流れ
- 世間話
- 体操をする目的
- 体操のメリット
高齢者に様々なことを実行してもらうためには、”導入の話”が特に重要です。
若い人に比べ理解力が弱まる傾向にあるし、人によっては耳を貸さない方もいます。
導入部分について、体操前のお話で対応していきます。
世間話
いきなり体操を始めるのは、おススメしません。
なぜなら、利用者からすれば急に体操に転じると状況が理解しにくいからです。結果、そのまま体操を始めても体操をしない人が出たりして雰囲気が崩れることがあります。
世間話の内容は、”今日のお昼ご飯の話や、こどもの話”など何でも構いません。
世間話の意図は、利用者の耳を立たせることです。《何か始まるんだな》と感じてもらえればよいです。
体操をする目的
利用者に向けて、体操の必要性を”簡単”に伝えます。
指先周り以外の首、腕、背中、脚など、日常生活であまり動かさない筋肉や関節を動かします。
運動をしない場合、筋肉は小さく関節は固くなると、動きが悪く転倒リスクも上がります。
つまり、体操により日常生活が苦にならない体づくりをするわけです。
体操のメリット
体操の目的に加えて、体操のメリットを伝えると、より体操に取り組む姿勢が生まれます。
理由は、人は「自分にとって得」と感じたら、行動に移す傾向にあるからです。
<例>
また、足が上がらずつまづきやすくなったと感じることありませんか?」
「体操して筋肉や関節を動かすと、動きが良くなって普段の生活がグッと楽になりますよ。」
「体操で脳を刺激して、物忘れにならない脳を作りましょう!」
上記のように具体例を挙げて身近に感じてもらうと、自分事として体操する方が増えます。
首回り(3分)
簡単な流れ
- 首を前後に倒す(それぞれ5秒ずつ)
- 首を横に倒す(左右それぞれ5秒ずつ)
- 首を横にひねる(左右それぞれ5秒ずつ)
- 首を回す(それぞれ5秒ずつ)
上半身(5分)
簡単な流れ
- 肩の上げ下げ(3回)
- 肩まわし(前後それぞれ3回)
- 上伸びして横に倒す(左右それぞれ1回)
- 横伸びして横に倒す(左右それぞれ1回)
手指(5分)
簡単な流れ
- 指まわし(それぞれの指で両回転)
- グー・チョキ・パー (簡単)⇨ グー・きつね・パー(やや難)⇨チョキ・きつね・チョキ(超難)
- 出す手はパー・胸はグー (簡単)⇨ 出す手はグー・胸はパー(やや難)
- 右手は上下・左手は四角を同時に行う
ポイント
・やや複雑な内容なので、やり方を丁寧に説明しましょう!
利用者が納得した上でそれでも上手くできない場合、笑いになります。
・最後に、上手くいかなくても大丈夫と伝えましょう!
脳の刺激になって効果があるからです。
雑談や脳トレ、クイズ等(5~10分)
利用者が飽きずに体操を続けるため、場面の転換も有効です。
アドリブの雑談が準備不要で楽ちんです。
ただ、皆さんの前では慣れがないと恥ずかしく感じるかもしれません。
また、準備しておけば口頭やホワイトボードでクイズや脳トレも安心。
盛り上がりやすく、利用者も自分自身も楽しめますよ。
下半身(5分)
簡単な流れ
- つま先上げ(1・2・3・・・10)
- もも上げ(左右の足で5秒ずつ✖2セット)
- かかと上げ(1・2・3・・・10)
- 片足上げ(左右の足で5秒ずつ✖2セット)
ポイント
まず、自分が大声で「1・2・3・4・5」と言い続けましょう。
すると、利用者の中で一緒に数えだす方が出てきます。
そしたら「皆さん、一緒に数えてくださいね。」と言うと、多数の方が声高に数えてくれますよ。
立位で下半身(5分)
簡単な流れ
- おしり上げ(片方ずつ上げて5秒キープ✖左右)
- 足踏み(1・2・3・・・10)
- 浴槽またぎ(1・2・3・・・10)
- 立ち上がり(「立つ」「座る」✖10セット)
おしり上げは手すりを持つよう声掛けしましょう。
理由は力が入りやすく、また転倒予防になるからです。
立ち上がりの際、立位や着席が不安定な利用者のそばに立ちましょう。
可能なら立ち上がり時だけでも他職員も呼べれば、より安心です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?紹介した体操は決して難しくありません。ただ、新人介護士は相応に大変でしょう。
なぜなら、体操スタッフは体操だけやるわけではありません。体操で体を動かしながら、声を張り、目で利用者に気を配り続けなければなりません。
でも日々やり続ければ、誰でもスムーズに出来るようになります。先輩達ができるなら、新人介護士だっていつかできるようになるということですからね。
本記事の体操は、僕がデイサービスで日々行う内容です。
本体操にアレンジを加えれば、事業所の利用者に合うオリジナルの集団体操になります。
利用者に満足度の高い体操を提供して、介護職員としてのスキルアップにつながれば幸いです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。